お餅やおせち料理と同じ縁起物として、お正月に食べる「年明けうどん」の習慣をご存知でしょうか? 「年越しそばは毎年食べているけれど、年明けにうどんを食べる文化は知らない」という方が少なくないかもしれません。しかし、年明けうどんの認知度は年々高まっており、来年はあなたのまわりでも年明けうどんという言葉を目や耳にする機会があるかもしれません。
年明けうどんの歴史はまだまだ始まったばかり。今回はそんな年明けうどんの特徴をご紹介するとともに、誕生から今に至るまでの道のりをご紹介します。
そもそも、年明けうどんとは?
年明けうどんは「元旦から1月15日までに食べるうどん」のことで、白いうどんに紅いトッピングを添え、紅白の彩りで新春を祝うものです。長く、太く、コシの強いうどんは長寿や幸せを願う食材にふさわしく、子どもからお年寄りまで安心して食べられることもあり、お正月の新定番料理としてこれから全国的に普及するのでは......と期待されています。
年明けうどんの特徴は、なんといっても好みの具材で自由にアレンジが楽しめること。梅干しやエビ、金時人参などの紅い具材を一点のせるだけでも十分ですが、昆布(よろこんぶ)や鯛(おめでたい)などからとった出汁を使うと、さらなる幸せが呼び込めそうです。うどんが縁起物であるということに歴史的な根拠はありませんが、一年の幸せを願いながら家族の好みに合わせて具材を工夫することが、新年の明るいスタートにつながることは間違いないでしょう。
年明けうどん誕生から全国進出までの道のり
■年明けうどんの誕生は今から約9年前
年明けうどんは讃岐うどんの本場、香川県で誕生した食文化です。香川県では冠婚葬祭などの重要な場面でうどんを振る舞うことが多く、年越しそばの代わりにうどんを食べる家庭も少なくないといいます。その文化を産業振興に役立てるため、さぬきうどん振興協議会が2008年に「年明けうどん」を商標登録、「年末にはそばを、年始にはうどんを」と提案したのが年明けうどんの始まりです。
お正月といえば、おせちやお雑煮などを家庭で食べるというのがこれまでの習慣でした。しかし、年明けうどんは気軽に楽しめる縁起物として、大手うどんチェーン店などの外食産業でも取り扱われるようになっています。年明けうどんの誕生から2回目のお正月となる2010年からは、カップ麺業界も年明けうどん商戦に参入。年明けうどんという名前は、人の目に触れる機会を着実に増やしています。
現在では全国製麺協同組合連合会内に発足した「年明けうどん普及委員会」が、年明けうどんを全国区にするために、関連企業や販売店を巻き込んでさまざまなキャンペーンを展開しています。関西の食文化だった節分の恵方巻が全国に浸透したことを考えると、お正月に年明けうどんが日本中で食されるようになる日も、決して遠くはないでしょう。
年明けうどんにぴったりの具材をご紹介!
うどんに添える紅い具材の定番は梅おろしですが、桜えびや金時ニンジンで作ったかき揚げを添えれば彩りだけでなく食べ応えも満点です。かまぼこは切ってのせるだけで簡単に調理でき、うどんとの相性も抜群。キムチや明太子、紅ショウガなどのピリ辛食材を使えば、初詣や雪かきなどで冷えた身体も温まるでしょう。年明けうどんは、勉強に取り組む受験生の夜食にもぴったりです。
また、出汁に豆乳を入れて乳白色にすると、より紅白のコントラストが際立ち、おめでたい印象になります。自分好みの具材を入れて、新年をおいしく祝いましょう。
まとめ
今回は年明けうどんの定義や、誕生からの歴史をご紹介しました。今はまだ全国区とまではいえない年明けうどんですが、これからじわじわと日本全域になじんでいくのかもしれません。カップうどんや冷凍うどんで気軽に新年を祝える年明けうどんは、忙しい現代人のライフスタイルにも無理なくマッチするでしょう。
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