しょうゆベースのタレと香ばしい油を中華麺に絡めて食べる「油そば」。日本で生まれ独自の進化を続けてきた油そばは、各地で専門店ができるほどの人気を誇ります。
インスタントや具材付き冷凍めんで気軽に食べられるラーメンと違って、油そばは「お店に行かないと食べられない」と思われがちです。しかし実際は、調味料と具材さえあれば専門店で食べる油そばに近い味を自宅でも再現できます。今回は中華麺より調理が簡単な「冷凍うどん」を使った、「油そば風うどん」の作り方をご紹介します。
スープのないラーメン「油そば」とは
油そばは、中太の中華麺にしょうゆベースのタレと店で独自に調合した油を絡めて食べる麺料理です。「油そば」という名称から油っこそうな料理を想像してしまいますが、多くの店は油やタレの調合、具材のバランスにこだわることで、あっさりとした味わいの中にもコクを感じられるように仕上げています。
油そばが飲食店で提供されるようになったのは昭和30年代のこと。ルーツについては諸説ありますが、中華料理の汁なし麺である「拌麺(ばんめん)」をアレンジした武蔵境の「珍々亭」とも、のびたラーメンをヒントに酒に合う麺料理として提供し始めた国立の「三幸」ともいわれています。2つの店はどちらも東京都西部の学生が多い街にあり、安さと食べ応えを求める学生に支持されたことで油そばの評判が周辺エリアに拡大。今ではラーメン、つけめんに続くラーメン界の第三勢力として不動の人気を誇ります。
■油そばのタレと具材の特徴
油そばの味付けは提供する店によって少しずつ異なりますが、しょうゆベースのタレに特製の調合油(数種類の油をブレンドしたもの)を加えたものが主流です。タレと油の原材料やそのバランスは企業秘密としている店が多いので、複数の店を食べ比べて好みの味を見つけるのも楽しいでしょう。
具材として一般的なものはチャーシュー、メンマ、煮卵、ネギなど。このほかに、もやしやキャベツを加えてシャキシャキとした食感を出している店もあれば、辛みのあるカイワレ大根を加えて爽やかな風味に仕上げている店もあります。追加で海苔やコーン、柚子胡椒などをトッピングし、自分好みの一杯を作り上げるのも油そばの楽しみ方のひとつです。
■油そばのおいしい食べ方
油そばを食べるときは、どんぶりの底に隠れているタレと油をしっかり麺に絡めましょう。最初にしっかり混ぜないと、食べ始めと終わりで味にムラが出てしまいます。どんぶりの中身をしっかり混ぜるだけでも十分美味しいのですが、油そばには酢とラー油がよく合います。
ラーメンの場合、途中で味を変えるのは「スープを一口飲んでから」が暗黙の了解となっていますが、油そばを提供する店の多くは「味に飽きたら」ではなく、最初からラー油と酢を入れてよく混ぜてから食べることを推奨しています。味の調整を食べる人自身に任せることで、多少の油っこさが好きという人からさっぱり食べたいという人まで、さまざまな好みに対応している点が、ラーメンにはない油そばの特徴ともいえるでしょう。
火を使わずに簡単調理!「油そば風うどん」のレシピ
油そばを提供する店の多くは油やタレのレシピを明かしていませんが、家庭にある調味料でもお店で食べる油そばに近い味を再現できます。冷凍うどんを電子レンジで加熱すれば、調理の過程で火を使うこともありません。短時間で簡単に作れるのでぜひ試してみてください。
まとめ
「スープのないラーメン」として若い世代を中心に人気の油そば。名前とは裏腹にあっさりしているので、まだ食べたことがないという方は、専門店でこだわりの一杯を食べてみましょう。「何度でも食べたい!」そう思ったら、ご紹介したレシピを参考に家庭でも作ってみてくださいね。