地域名を冠したご当地ラーメンは各地に存在しますが、中国地方発として最も有名なのが広島県の「尾道ラーメン」です。ラーメン通の間では「味のバランスがよい」「万人受けする優しい味」として高く評価されている尾道ラーメン。スープや具材、麺にはどんな特徴があるのでしょうか。

今回は尾道ラーメンの原型となった「中華そば」との違いを見比べながら、尾道ラーメンならではの魅力をご紹介します。

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80年の歴史を持つ尾道ラーメンとは

尾道ラーメンは尾道市を中心とした広島県東部で古くから親しまれている、しょうゆベースのラーメンです。鶏ガラといりこの風味がきいたスープの個性を引き立てるのは、平打ちの中細ストレート麺とネギ、チャーシュー、メンマなどのオーソドックスなトッピング。スープはさらりと澄んでいますが、表面にミンチ状の背脂が浮かべられるとその印象は一変し、こってりとした食べ応えのあるラーメンに仕上がります。

尾道ラーメンの原型となったのは、昭和初期に露店で売られていた「中華そば」です。当時の中華そばといえば、しょうゆベースのスープに背脂ミンチ、平打ち麺というスタイルが定番でしたが、だしをとる食材は鶏ガラや豚骨、魚介類など店によって異なりました。鶏ガラといりこを主体としたスープに背脂を散らす現在のスタイルが定着したのは、昭和30年代といわれています。

■尾道ラーメンに欠かせない「いりこ」とは

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独自の進化を遂げた中華そばが「尾道ラーメン」の名で呼ばれるようになったのは、尾道市の東に位置する福山市のメーカーが、お土産用のラーメンを「尾道ラーメン」として売り出したことがきっかけといわれています。もっと尾道をPRできる食材はないかと考えたとき、白羽の矢が立ったのが瀬戸内産の小魚を原料とする「いりこ」でした。

小魚(主にカタクチイワシ)を塩水で煮て乾燥させたものは、西日本では「いりこ」、東日本では「煮干し」と呼ばれています。瀬戸内海などおだやかな内海でとれたいりこは十分に乾燥させても身が柔らかいのが特徴で、スープに特有の香りと上品な甘みを加えてくれます。讃岐うどんのだしとしても欠かせない存在です。

■味を印象付けるのは「ミンチ状の背脂」

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さらりとしたスープを濃厚なコクのあるスープに変化させるのは、スープの表面に浮かべられた大粒の背脂です。関東地方には豚の背脂を網でこし、麺の上に振りかける「背脂チャッチャ系」と呼ばれるラーメンがありますが、同じ背脂でも尾道のそれは食感や風味が全く異なります。

尾道ラーメンのミンチはぷるぷると柔らかく、油で揚げたりネギで香りをつけたりと、各店の工夫が現れる部分。尾道ラーメンを食べる際には、ぜひ見た目や味の違いを楽しみましょう。

尾道ラーメンの人気店は「中華そば」と呼んでいる?

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尾道ラーメンは今でこそ「いりこだし、ミンチ状の背脂、平打ち麺」のスタイルで知られていますが、この特徴が全国区になるまでは明確な定義がありませんでした。そのため、地元で歴史が古いラーメン店ほど、現在でも「中華そば」の名称で尾道ラーメンを販売しているのだとか。

まとめ

広島県東部にルーツを持つ中華そばは、今では「尾道ラーメン」として全国的な知名度を誇るグルメとなりました。こってりとしたラーメンが好きな方、いりこの香りが好きな方はその魅力にハマってしまうこと間違いありません。

冷凍うどんの製造・販売を行うキンレイでは、いりこと鶏ガラを炊き出したスープに背脂のコクと旨みが溶け込んだ「お水がいらない 尾道ラーメン」を販売しています。麺と具材、スープがひとつになっているので、鍋で温めるだけで簡単に食べられます。尾道観光協会推薦の味を、ぜひご家庭でご賞味ください。

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