山梨県の郷土料理である「ほうとう」。野菜がたっぷり入っているので栄養満点で、味噌ベースの汁を飲めば体もポカポカ温まります。寒い日が続き、風邪を引きやすくなるこの時期にはピッタリのめん料理です。
調理が難しそうなイメージもあるほうとうですが、実は自宅でも作ることができます。今回は、ほうとうの歴史から、具材や家で作るときのポイントまで解説します。
「ほうとう」は山梨県の郷土料理
ほうとうとは、小麦粉を練り太めに切って作っためんを、ネギやシイタケ、ジャガイモなどの具材とともに味噌仕立ての汁で煮込んだものです。山梨県を中心とした地域で食べられており、2007年には農林水産省によって「農山漁村の郷土料理百選」のひとつに選ばれています。
めんと季節の野菜を味噌仕立ての汁で煮込むだけのほうとうは、作る手間がかからないうえ、栄養価が高い点が魅力です。戦国時代に「甲斐(現在の山梨県)の虎」とも呼ばれた武田信玄は、その効率の高さからほうとうを野戦食として用いていたとも伝えられています。名前の由来については、武田信玄が自分の刀で食材を切ったことから「宝刀(ほうとう)」と名付けられたという説もあるなど、ほうとうは武田信玄とともに「山梨名物」として愛され続ける存在です。
■めんとつゆの特徴は?
ほうとうのめんは小麦粉を水で練り伸ばして折り重ね、幅広に切って作ります。見た目はきしめんに似ていますが、ほうとうは製造工程で塩分を混ぜません。そのため、めんを湯がいて塩分を抜く手順が要らず、生めんから煮込むところに特色があります。
また、ほうとうのめんは打って伸ばした後、コシのもとである「グルテン」が形成されるのを待たずに切るので、一般的なうどんよりも食感が柔らかくなります。煮くずれしやすく、打ち粉を落とさず煮込むので汁にはとろみがつきますが、それが「ほうとうならでは」の特徴でもあります。とろみがつくと汁が冷めにくくなるため、食べ終わるまでアツアツをキープできる点も理にかなっていますね。
つゆは煮干しから取っただしに味噌を溶かしたものが主流で、寒い時期はカボチャを煮くずし、つゆに溶かして食べるのが定番です。だしの煮干しは取り出さず、そのまま具材にすることもあります。
ほうとうを家庭で作るときのポイント
■ほうとうに入れるとおいしい具材は?
ほうとうはさまざまな具材と一緒に煮込むため、不足しがちな栄養をたっぷり摂れるのが魅力です。夏にはネギ、タマネギ、ジャガイモ、冬ではカボチャやサトイモ、ニンジン、白菜、ごぼうなどを具材に使用します。シイタケ、シメジなどのキノコ類や、豚肉、鶏肉を入れるのもおすすめです。
ほうとうはめんの小麦粉や具材の芋類によってデンプン質を、味噌や肉類によってタンパク質を、野菜によってビタミン類を摂れるなど、栄養バランスに優れた料理です。お好みの具材と一緒に煮込み、おいしく栄養を補給しましょう。
■めんから手作りで本格的な味わいを再現
土地の大部分が稲作に適さない山地であった山梨県では、米に代わる食生活の中心としてほうとうが長く親しまれてきました。一部の地域では、ほうとうのめんを上手に打つことが嫁入り修行の一環であったともいわれています。
ほうとうを自宅で作るとき、手軽なのは市販のきしめんで代用する方法。しかし、せっかく自宅で作るなら、めんから手作りしてほうとうの特徴である「太麺」や「とろみ」を再現してみてはいかがでしょうか?
めんの材料として用意するのは中力粉200g(なければ強力粉40gと薄力粉160g)と水90mlのみ。まず、大きめのボウルに中力粉を入れたら、指先で粉を混ぜながら水90mlを加えます。様子を見て、粉っぽさがある場合は水を少量加えましょう。ある程度生地がまとまったら、手のひらの付け根あたりで押し込むようにして練ります。表面がなめらかになるまで練ったら生地を伸ばす工程に移りますが、家庭で作る場合はめんが切れやすいので、ふきんかラップをボウルにかぶせて10分間ほど寝かせると扱いやすくなります。
生地をねじるようにして2つに分けたら、分量外の中力粉を少々振った平らな台に移し、めん棒で3~4mm 程度の楕円形に伸ばしましょう。薄く伸ばした生地をびょうぶ畳みにしたら、約1cm幅に切って完成です。
まとめ
ほうとうは冬に摂りたい栄養をたっぷり摂れる料理です。寒い日はほうとうを食べて、風邪に負けない体を作りましょう。
冷凍うどんの製造・販売を行うキンレイでは「お水がいらない ほっこりかぼちゃのほうとう」を販売しています。だし、めん、具がひとつになったほうとうで、お鍋に入れて温めるだけですぐに食べることができます。手間をかけずにおいしいほうとうを食べたい方は、ぜひお試しください。