ちゃんぽんといえば長崎が有名ですが、現在では全国各地に地域の魅力を反映させたユニークなご当地ちゃんぽんが存在します。その個性は千差万別で、ちゃんぽんの特徴からその土地の歴史や文化を推し量るのも楽しみ方のひとつといえるでしょう。
今回は、日本有数の工業地帯を擁する兵庫県で生まれた「尼崎あんかけちゃんぽん」をご紹介します。
尼崎で生まれた「あんかけちゃんぽん」とは
兵庫県尼崎市で誕生した尼崎あんかけちゃんぽんは、「あんがかかった麺であれば何でもOK」という非常に広い定義を持っています。野菜や海鮮をたっぷり入れるという点では長崎ちゃんぽんのスタイルを踏襲しているものの、麺にあんをかけること以外のアレンジはあんかけちゃんぽんを提供するそれぞれの店舗に任されているのが特徴です。
尼崎では23の店舗が「尼崎あんかけちゃんぽん」を売り出しています。店舗によって味付けや具材は異なるので、複数の店舗を回って食べ比べをするのも楽しそうですね。
■尼崎ってどんなところ?
尼崎あんかけちゃんぽん発祥の地である尼崎は、両端に武庫川と猪名川が流れる実り豊かな地として知られ、古くから京都・大阪と西国を結ぶ交通の要衝として栄えてきました。「尼崎(あまがさき)」という地名は、漁民・海民が多く住んでいた地であることが由来とされており、元々は「海人崎」「海崎」(読み方はすべて「あまがさき」)という漢字が使われていたようです。
近代に入ると尼崎は日本有数の工業地帯として発展を遂げ、高度経済成長期には集団就職によって、地方から多くの人が集まりました。尼崎あんかけちゃんぽんのベースとなるちゃんぽんの文化は、この際に九州からやってきた人たちの手で広まったといわれています。また、工場で必死に働きおなかをすかせた人たちが少しでも満腹になるように、ちゃんぽんにあんをかけたのが「尼崎あんかけちゃんぽん」の始まりという説も。
少し変わったあんかけちゃんぽんをご紹介
ご紹介したように、尼崎のあんかけちゃんぽんは「麺にあんがかかっている」という点を除けば、非常に自由度が高いご当地グルメです。ここからは一風変わったあんかけちゃんぽんをご紹介しましょう。
■尼崎なの?札幌なの?「サッポロちゃんぽん」
「どさん子大将尼崎店」が販売している「サッポロちゃんぽん」は、イカや豚肉、白菜、ニンジン、シイタケなど10種類以上の具材がたっぷり入ったちゃんぽんです。スープにあんがかかっているというより、「スープ全体があんかけ」と表現したほうがイメージしやすいかもしれません。麺、具材、あんかけスープが渾然一体となった個性的な一杯です。
「サッポロちゃんぽん」という名前からは札幌のご当地グルメを想像してしまいますが、尼崎のご当地グルメには変わりありません。食べ応え満点の「尼崎あんかけちゃんぽん」らしさを味わえるメニューです。
■麺はうどんでもOK!?
お食事処「駒川」が販売する「あんかけちゃんぽんうどん」は、23店舗で販売される「尼崎あんかけちゃんぽん」のなかで、唯一中華麺ではなくうどんを使用したメニューです。
うどんならではの風味豊かなダシと、ちゃんぽんらしい豊富な具材がマッチし、食べ応えは抜群。白菜や玉ネギ、青ネギなど野菜が豊富で栄養バランスがいいため、性別や世代を問わず楽しめるグルメとして評判です。
まとめ
「尼崎あんかけちゃんぽん」は、麺にあんさえかかっていればOKというおおらかな基準もあり、店舗によってまったく違う姿をしているのが特徴です。複数の店舗を回れば、きっと自分好みのあんかけちゃんぽんを見つけられるでしょう。
尼崎は京都・大阪・神戸とのアクセスが良く、関西を巡るうえでの拠点としても便利な街です。尼崎を訪れる機会があれば、ぜひ「尼崎あんかけちゃんぽん」を食べてみたいですね。
冷凍うどんなどの食品製造・販売を行うキンレイのオンラインショップでは、「お水がいらない 長崎ちゃんぽん発祥の店四海樓」を販売しています。スープ、麺、具材がひとつになっているので、鍋で温めるだけで調理は完了。本場さながらの味を、ぜひご自宅でお楽しみください。