二十四節気の中でもっとも寒さが厳しい時期といわれる「大寒」。この時期は、のどや鼻の粘膜が乾燥してウイルスへの抵抗力が下がり、風邪をひきやすくなります。2019年の大寒は1月20日ですが、大寒から2月上旬ごろにかけては、ちょうどインフルエンザの流行もピークを迎えるので注意が必要です。
風邪に負けない丈夫な身体をつくるには、新陳代謝を促す食材や、身体を温める食材をバランスよく摂取することが大切。今回は、中医学の理論をもとにした「薬膳」の観点から、冬に積極的に取り入れたい食材をご紹介します。
冬にぴったりの薬膳とは?
冬は、寒さや乾燥によってさまざまな生理活動が衰える時期です。寒さで血管が委縮して血流が悪くなると、関節や筋肉のこわばり、肩こり、しもやけなどの不調が起きやすくなります。血行が悪いと新陳代謝が下がり、便秘や生理痛に悩まされることも。冬の空気は口や鼻の粘膜を乾燥させウイルスに対する抵抗力を弱めるので、室内では加湿器を使うと同時に、食事で身体を潤す効果のある食材を積極的に取るのが効果的です。
薬膳には、食材の「人間の身体を温めたり冷やしたりする性質」に注目した「五性」という分類があります。熱、温、平、涼、寒と5つの性質のうち、冬は「温性」の食材を料理に取り入れて身体を温めることが大切です。また、なんとなく身体が重い日は滋養強壮効果を期待して高麗ニンジンやエビ、羊肉などを料理に取り入れてもいいでしょう。
■寒さに負けない身体は「うどん料理×ショウガ」でつくろう!
ショウガは五性の「温」に分類される食材で、その辛み成分には新陳代謝を高めて身体を温める効果があるといわれています。咳や痰など「風邪かな?」と感じる症状があるときは、症状が悪化する前にショウガを摂取しましょう。
「食欲がわかない」という方は、湯豆腐や温野菜などのさっぱりした食事に、すりおろしたショウガとニンニクをたっぷり添えてパワーをチャージしてはいかがでしょうか。ショウガが胃の調子を整え、食欲を増進させてくれるでしょう。かけうどんのつゆにおろしたショウガを混ぜて食べるのもいいですね。
■寒気を伴う風邪の初期に摂取したい「ネギ」
日本料理の名脇役である「ネギ」も温性の食材です。ネギ独特の臭いのもとである「アリシン」という物質は殺菌効果が強いため、風邪の初期に食べればのどや口に潜むウイルスの殺菌効果が期待できます。
ネギはうどん料理の王道トッピングですが、風邪のひきはじめで悪寒を感じるときは、味噌をお湯に溶いて、細かく刻んだショウガとネギを入れた「ネギ味噌湯」を飲むのもおすすめです。味噌は寒性の食材ですが、身体に余分にこもった熱を取り除いてくれる効果が期待できるため、発熱やのぼせの症状が改善できそうです。
■のどの不調には「大根」
大根は五性で「涼」に分類されていますが、食べ物の消化を促進する効果が期待できるため、暴食によってお腹に膨満感が出やすい年末年始には進んで摂取したい食材です。大根を食べると痰がとれ、気管支がスッキリするといわれています。のどの不快感や咳、黄色い痰があるときは大根で体調を整えましょう。
また薬膳には「一物全体(いちぶつぜんたい)」という考え方があります。これは1つの命として存在する食材を丸ごと食べれば生命維持に必要な栄養をバランスよく摂取しやすいという概念です。大根の葉は栄養が豊富なので、けんちんうどんの具にしたり、細かく刻んでチャーハンに入れたりしておいしく食べましょう。
まとめ
冬は大根やニンジンなどの根菜が旬を迎えますが、身体を温めるならサラダではなく、火を通して温かい状態で食べるのがいいでしょう。旬の根菜を、黒きくらげやしいたけ、卵黄などパワーのもとになる食材と一緒に鍋焼きうどんに入れれば、おいしく栄養を補給できますね。
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