1980年の7月2日に、香川県生麺事業協同組合によって制定された「うどんの日」。知らなかったという方も多いかもしれませんが、どこかマイナーなイメージを持たれがちなことの「うどんの日」、実は「半夏生(はんげしょう)」と深い関係があることをご存知でしょうか?

そこで今回は、半夏生にうどんの日が制定されたストーリーや、半夏生にちなんだ食材を使用した各地のうどん料理をご紹介します。

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うどんを食べる日?半夏生とは?

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雑節の一つとして知られる「半夏生」。あまり聞きなれない言葉ですが、かつて稲作が中心だった日本において「重要な日」と位置付けられていました。半夏生は、毎年7月2日ごろにあたります。

「夏至は外せ、半夏生は待つな」という言葉があるほど、農家の人々にとって半夏生は"田植え時期"を見定めるために重要な日だったそうです。「夏至の後、半夏生になるまでに田植えを終わらせるとよい」という言い伝えが存在し、半夏生の後は天候がよくても田植えはしないという習慣がありました。

現在は農業改革や品種改良が進んでいるため、昔のように半夏生を目安として田植えを行う農家はないそうですが、こうした昔の風習を「うどんの日」という形で残しています。

■香川県では半夏生にうどんを食べる!

"うどん大国"の香川県では、田植えが終わる半夏生に、労をねぎらってうどんを食べる習慣があります。その昔香川県の農村では、麦の刈入れや田植えが終わるころになると、その年に収穫された麦を使ってうどんを打っていたそうです。

そのうどんを、農作業を手伝ってくれた人たちに振る舞うようになったことがきっかけで、半夏生にうどんを食べる風習が根付くようになりました。うどんに使用される小麦粉には、筋肉疲労の回復効果のあるグルタミンペプチドなどが含まれているので、農民の疲れを癒すために適した食事といえます。

香川県では、半夏生にうどんを振る舞う風習が今もなお引き継がれています。毎年7月2日には、無料で約1,000食ものうどんを提供するイベントなどが開催され、盛り上がりをみせています。

半夏生にちなんだ食材をうどんに取り入れよう

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香川県では半夏生にうどんを食べますが、地域によって半夏生にちなんだ食材は異なります。
地域別に食材の特徴をご紹介します。お好みの食材をうどん料理に取り入れてみてもいいですね。

■関西地方はタコ!

稲の根がタコ足のようにしっかりと根付くように――という願いを込めて、関西地方では半夏生にタコを食べる習慣があります。また、タウリンと呼ばれる栄養素がたっぷり含まれているのもタコの特徴です。

タウリンには疲労回復や高血圧の改善、視力改善などの効能があるといわれているため、田植えで疲れた身体を癒すにはピッタリ。天ぷらにするもよし、生でうどんにトッピングするもよしの万能食材です。冷やしうどんの場合は生のタコと白髪ねぎ、オクラなどをおすすめします。

■福井県はサバ!

福井県では半夏生にサバを食べる習慣があります。話は江戸時代にさかのぼりますが、当時福井県周辺ではサバの水上げ量が多く、年貢として納められていたそうです。そのころの藩主は年貢の軽減と、田植えでヘトヘトになった農民の栄養補給のため、サバを食べるべしとの令書を出したといわれています。その後、令書を手にした魚屋の店主が、半夏生に焼いたサバを売り出したのが始まりだったそう。

サバにはコレステロールや中和脂肪を抑えたり血液の流れをよくしたりする効果があるので、タコ同様、農民に適した食材といえます。サバとうどんを合わせるときは、サバ缶が◎。サバそぼろに青ネギ、ミョウガ、大根おろしをトッピングして、ごま油で味付けをする一品は、暑い日にピッタリです。

■奈良県はきな粉餅!

やや意外性があるのは、奈良県で食されているきな粉もち。きな粉餅は、農民の体力回復ではなく神様へのお供えものという意味合いで半夏生に食されています。苗を植え終わった田んぼの豊作を祈って、農家で食べられるお餅です。

きな粉餅とうどんの相性は「よい」とはいえないので、きな粉もちの代わりに焼き餅をおすすめします。焼き餅やかまぼこ、ほうれん草などをトッピングして普段のうどん料理に変化をつけてみてもいいですね。

まとめ

毎年7月2日の半夏生では、農民をねぎらって地域ごとに食を楽しむ文化があります。うどんを食べる香川県やタコを食べる関西、サバでエネルギーを蓄える福井県、きな粉もちで豊作を祈る奈良県など、その特徴はさまざま。それぞれの地域で親しまれている半夏生の食材を使って、うどん料理を彩ってみてください。

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