和食の味付けには砂糖、塩、醤油、みりん、味噌などの調味料が使われますが、日本にはもっと濃厚なうまみを持つ調味料が存在します。それは秋田のしょっつる、瀬戸内のいかなご醤油、そして、能登のいしるに代表される「魚醤」です。

まろやかなうまみのほか、独特の香りがある魚醤を料理に加えれば、味に奥行きが出て普段の料理とはまた違った印象に。今回はだしの代わりにしょっつるを使った「しょっつるうどん」のレシピをご紹介します。

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魚醤とは

魚醤とは魚介類を塩に漬け込んで発酵させて造る「魚の醤油」で、英語ではフィッシュソースと呼ばれています。タイ料理に欠かせない「ナンプラー」はカタクチイワシなどの小魚を発酵させたもので、世界的に有名です。

日本において、魚醤は鎌倉時代から料理に使われてきました。しかし、室町時代に入り大豆を原料とする醤油が普及すると、料理に魚醤を用いる文化は徐々に衰退。現在では一部の地域の郷土料理に使われる「ふるさとの味」として親しまれています。魚介類の動物性たんぱく質が分解されてできるアミノ酸や、魚肉の核酸は魚醤の「うまみ」のもととなり、料理に少量加えるだけで、がらりと印象を変える力を持っています。

「日本三大魚醤」それぞれの特徴

日本の魚醤で代表的なものには、秋田の「しょっつる」、香川(瀬戸内)の「いかなご醤油」、そして能登の「いしる」があります。これらは「日本三大魚醤」と呼ばれ、品ぞろえのよいスーパーに行けばこのほかの地域でも見つけることができるでしょう。それぞれの魚醤にはどのような特徴があるのでしょうか。

■秋田の「しょっつる」

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秋田県名物「しょっつる」は県魚である「ハタハタ」を原料に作られた魚醤です。漢字では「塩魚汁」と書き、ハタハタと塩だけで作られる上質なしょっつるは、魚臭くなく、上品でまろやかな味が特徴。

ハタハタなどの白身魚や野菜などの具材を、しょっつるで味付けしたスープで煮込む「しょっつる鍋」は秋田県の郷土料理として有名ですが、温かいご飯にバターをのせ、しょっつるをかけるだけでもその魅力を十分に堪能できます。

■香川の「いかなご醤油」

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香川県を中心とする瀬戸内地方で生産される「いかなご醤油」はスズキの仲間で細長い体の「いかなご」という魚を原料とする魚醤です。すっきりとした風味が特徴で、刺身のつけ醤油として使われることもあります。

■能登の「いしる(いしり)」

富山県や石川県では、イワシやイカなどの内臓を塩に漬け発酵させた魚醤「いしる」が名物となっています。熟成を終えたあと、加熱とろ過の工程を経て造られ、日本三大魚醤の中で最も濃い色をしています。調理の段階でチャーハンや野菜炒めに加えたり、麺類に数滴垂らして、「味変」に使ったりするのにおすすめです。

■だし要らずで簡単!「しょっつるうどん」のレシピ

うどん料理はだしが重要ですが、だしの代わりに魚醤を使えば、うまみや風味がプラスされ、料理時間を短縮できます。ぜひお気に入りの魚醤でうどん料理を作ってみましょう。

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まとめ

今回は日本三大魚醤の特徴とそれぞれに適した使い方をご紹介しました。魚醤はさまざまな料理に「隠し味」として使えるので、ご家庭に1本常備してはいかがでしょうか?

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