ちゃんぽんといえば「長崎のご当地グルメ」として有名ですが、現在では全国各地にその地域の特色を活かした「ご当地ちゃんぽん」が存在しています。長崎から遠く離れた北海道北東部の街・網走の「網走ちゃんぽん」も、そんなご当地ちゃんぽんのひとつ。

網走ちゃんぽんの開発には、網走市だけでなく、長崎県の島原半島西部にある雲仙市も携わっています。これほど遠くにある街同士が、なぜちゃんぽんの開発で協力するようになったのでしょうか。今回は「ご両地グルメ」と呼ばれることもある「網走ちゃんぽん」の魅力をご紹介します。

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「焼きちくわの長さ日本一対決」から生まれた「網走ちゃんぽん」

網走ちゃんぽんが開発された背景には、北海道網走市と長崎県雲仙市が「焼きちくわの長さ日本一」を競い合ってきた歴史があります。冷凍すり身発祥の地として「網走の歴史や食文化をより理解してもらいたい」と情熱を燃やす網走と、かまぼこ製造業が盛んで、毎年かまぼこ祭りが開かれている雲仙は、かねてからよきライバルの関係にありました。

しかし、競争を重ねるなかで両者の間にはいつしか友情が芽生え、交流を深めていくうちに「雲仙のご当地グルメ『小浜ちゃんぽん』を、網走の食材で作ったらおいしくなるのでは?」という発想が話し合われるようになったのだとか。そこから話は進み、2011年9月に雲仙市の訪問団が、網走の食材を使ってちゃんぽんを試作。これをきっかけに、網走ちゃんぽんが完成したという経緯があります。

競い合っていたふたつの地域がひとつのグルメを作り出すという結末を、誰が予想できたでしょうか。網走ちゃんぽん研究会では、網走ちゃんぽんを「ご当地グルメ」ではなく、網走市・雲仙市による「ご両地グルメ」と位置づけ、現在も普及活動に力を入れています。

網走ちゃんぽんの特徴

網走ちゃんぽんは雲仙市の「小浜ちゃんぽん」をベースにしているため、味やレシピは小浜ちゃんぽんとほぼ同じです。ここでは小浜ちゃんぽんについて詳しくご紹介します。

■コクのあるスープと大量に使われた海の幸が魅力の「小浜ちゃんぽん」

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(写真はイメージです)

小浜ちゃんぽんの発祥地である雲仙市小浜町は、小浜温泉があることから、古くより湯治宿として栄えてきました。多くの人が湯治のため船で小浜温泉を訪れ、そのなかでちゃんぽんの文化も伝わったというのが定説です。小浜ちゃんぽんは、地元の人たちにとって非常になじみ深いメニューであり、今でも当地の名物として多くの飲食店で提供されています。

小浜ちゃんぽんの特徴は、軽いのにコクのあるスープ。しっかりとした海鮮だしでありながら味わいは優しく、ごくごく飲めるのが魅力です。そこに新鮮な海の幸をふんだんに乗せていくのが、小浜ちゃんぽんならではといえるでしょう。

麺は小浜ちゃんぽんを提供しているお店によって差がありますが、やや硬めのものが主流です。優しい味がするスープとの相性はよく、しっかりとした歯ごたえを楽しめます。

■網走ちゃんぽんの3つのルール

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網走ちゃんぽんであることを証明するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

・雲仙小浜ちゃんぽん用スープをベースに、オホーツクの恵みを加え独自性のある演出をする
・網走市内のかまぼこ業者の魚肉加工食品を具材に使う
・網走市内「竹中製麺」が特別に開発した「網走ちゃんぽん専用麺」を使用する

ご当地ちゃんぽんでは、地元の特産品を使用することをルールとするのが基本です。しかし、ルーツであるとはいえ、ほかの地域のグルメである小浜ちゃんぽん用のスープの使用をルールに含めているのは、「ご両地グルメ」である網走ちゃんぽんならではの特徴といえます。

■網走ちゃんぽんはどこで食べられる?

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網走ちゃんぽんを提供している飲食店は、網走市内に6店舗あります。まだ知名度が低く、取り扱っているお店も少ないですが、網走ちゃんぽん研究会は、ニューヨーク・セントラルパークでのちゃんぽんフェスティバル開催や、ブラジル・サンパウロで長崎県人会が開く「ちゃんぽん祭り」への参加を目指しており、精力的なPR活動を続けています。網走ちゃんぽんが世界的な認知を獲得する日は、そう遠くないかもしれません。

まとめ

開発の経緯がユニークな網走ちゃんぽんは、ちゃんぽん好きなら一度は食べたい「ご両地グルメ」です。北の大地まで足を運んだ際は、網走ちゃんぽんを味わってみましょう。

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